サイド・ポ・スト工法とは
正式には、『組立鉄筋(Aタイプ)を使用したそで壁付柱の耐震補強工法』といい、集合住宅等のそで壁付柱に、組立鉄筋(Aタイプ)と特殊ポリマーセメントモルタルを用いて、左官工により鏝(こて)塗り付けして耐震補強をする工法で、平成22年11月29日、財団法人日本建築防災協会により技術評価を取得しています。
この技術開発は、「ポリマーセメントモルタルによる耐震補強工法の技術開発」(開発および基礎実験の主担当者:東京理科大学名誉教授 松崎 育弘)としたテーマで、平成17年~19年度の3年間、国土交通省の「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」に採択されて実施した一連の研究成果を基に実用化への目途を立てたものです。
“塗って耐震”サイド・ポ・スト工法
本工法は、左官作業で仕事を進めることができるようにしていますので、”塗って耐震”をキャッチフレーズとし、『組立鉄筋(Aタイプ)を使用したそで壁付柱の耐震補強工法』の略称においては、「サイド・ポ・スト工法」としました。
”サイド”は[そで壁]を、”ポ”は[ポリマーセメントモルタル]を、”スト”は[強くする(strengthen)]を、そして”ポ・スト”で、ポスト、すなわち、[後から補強する]、という意味を込めてあります。
補強の原則
本補強工法は、補強によりそで壁柱部材としてせん断強度を高めることを基本とします。
なお、既存建物の耐震性能に応じて靭性能を確保することが可能であり、曲げ降伏先行型の特性を得るためには、様々な形状の壁部材が取り付く場合、そで壁の一部のみを補強する「部分補強」や既存壁に溝切りをする「部分スリット」を用いて、補強手法を決定します。
靭性指標の評価
本工法を用いて柱と壁を補強したそで壁付柱の構造性能評価は、実験結果から柱を補強した場合、最大耐力以降はそで壁が破壊しながら段階的に耐力が低下し、徐々に独立柱の挙動に移行すると考えられます。しかしながら、本工法においてはこの最大耐力以降の性能は余力と考え、靭性指標としては原則F=1.0もしくはF=1.27とします。なお、曲げ破壊先行型かつ柱補強が施されβ≦1.0の場合に限り、2001年版RC耐震診断基準に準じて曲げとせん断の余裕度により、F1.27~1.6とします。
主な特徴
- そで壁と柱を一体化させることで柱の耐力を上げる。
- 補修材で使われているポリマーセメントモルタルで構造壁を形成する。
- 住まいながらの施工ができる。
- 他の工法とのコラボレーションが可能である。
サイド・ポ・スト工法のメリット
- 住まいながらの工事が可能。
- 工事後の外観や使い勝手が殆ど変わらない。
- 比較的騒音、振動が少ない。
- 助成金と修繕積立金の範囲で工事できないか。
- 短期間で工期ができる。
サイド・ポ・スト工法施工イメージ
施工前・施工後のイメージ
メディア掲載履歴
東京都都市整備局 発行 「ビル・マンションの耐震化読本」に掲載
東京都の審査により、一定の評価を受け選定された事例「ビル・マンションオーナーに役立つ耐震改修事例」の中で紹介されました。